仕立てあがった着物を手にしたら、いてもたってもいられず、後編を待たずに中編を書くはめに。
先日選んだ、現代物の秩父銘仙。反物の時点でも魅力は十分だったけれども、着物の形になった途端に、それすらゆうに超える魔力を放つ。人の体に着けるという意味を帯びると、モノとしての在りようが違うのか。この変身を目の当たりにできるのも、お仕立ての楽しみの一つかもしれない。
仕立て上がった秩父銘仙

ただでさえ迫力ある柄行きを、さらには“夢の花”が集まるように仕立ててくださったとのこと。肩にも、両袖にも花が! 自分の顔ほどもある大きさの花が幾つも、まるで浮き上がるかのように織られている。「なんと埼玉では今、こんな着物が作られています!」と自慢したい。お店の方によれば、そんな銘仙に負けない帯選びがコーディネートのコツだという。考え甲斐があり、手持ちの帯との取り合わせだけでなく、これから増やす帯のことまで楽しみになる。

件の八掛も狙い通りで、よし。黒の帯を合わせると、いい差し色になってくれる。また、自分のワードローブ(桐箪笥?)には青が多いので、帯や小物で色数を増やしても、上手いこと八掛と色を揃えられるだろう。

お気に入りの長襦袢との相性もいうまでもない。ここは黙ってちらっと見せるべきところだろうが、あまりの愛らしさでお披露目したく、写真におさめてしまった。
銘仙の生地には表裏がない!

銘仙は「ほぐし捺染」と呼ばれる先染めの技法で色をつけるので、あのドーンと大きな柄を表現できるのに加えて、生地に表裏がないのも特徴だという。余りぎれを見ると、たしかにどちらの面も同じように染まって、どちらが表だか裏だかわからない。ほかのお客さんには、余りぎれを額装する方もいらっしゃると聞いたので、わたしも自室に飾ってみようか。
秩父銘仙の余りぎれを額装!

買ってきた額に入れただけで、和室向けのおしゃれなインテリアになった! 額の大きさやデザインによっても雰囲気が変わりそうだ。桐箪笥の上に飾ったら、着付けのたびに目に入るので嬉しい。来週はいよいよ織元の方とお会いするので、今度こそ後編へ続く。
おまけ
着物を題材にした小説を書きました。ほんの少しですが、秩父銘仙も登場します。作品の紹介ページもご覧になっていただけたらうれしいです!
毎週末に着物を着る生活をエッセーに綴りました。着物を着る方には、きっとクスッと笑ったり共感したりと、一緒に楽しんでいただけるはず! Instagramに載せたお気に入りの写真も何枚か掲載しています。お手に取っていただけますと嬉しいです。