有名な着物の産地は、どれほど遠方にあっても気になるものですが、地元にあれば猶更気になるものです。埼玉の地名を冠した織物があるならば、まず埼玉で暮らす人が胸を張っておしゃれに着なければ。そんなわけで、埼玉県北で生まれ育った者として、秩父生まれの秩父銘仙をお仕立てしました!
現代物の秩父銘仙に興味を持ったきっかけ
わたしが現代物の秩父銘仙に興味を持ったきっかけは、埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催されたイベント「埼玉WABI SABI大祭典2019・きものサミット」です。これが人生で初めて秩父銘仙の大胆なデザインを目の当たりにした瞬間でした。
講演では、秩父市地域おこし協力隊として活動した関川さんが発表をされていました。銘仙といえばアンティーク着物のイメージがあったので、当日お召しになっていたモダンな着物がご自分で織った銘仙だと聞いて、大きく印象が変わったのを覚えています。
その2年後、お世話になっている着物店「きものこすぎ」さんにて、秩父銘仙の織元である新啓織物の新作展があると聞いて、いよいよ自分にもチャンスがやって来たのだと確信! さっそくお店へ足を運びました。
現代物の秩父銘仙を着装してみた
展示会場で何枚もの銘仙を見せていただき、やっと選んだのがこちらの一枚。
写実的な絵柄ですが、実は「夢の花」と名付けられた架空の植物。大ぶりな花のように見えるのは、よく見ると葉っぱの集まりなのです。定番の花柄と見せかけて一ひねり。わたしがこういったユニークな着物に弱いこと、きっとお店の方にもばれていることでしょう(笑)
反物を着装してみると、想像よりずっと似合っていたので一安心。
銘仙といえば可愛らしい柄行のイメージがあり、自分でも着こなせるだろうかと少し心配していました。でも、新作の銘仙には可愛らしいものから大人っぽいものまで色んなテイストの反物があるので、どんな方でも選び甲斐がありそうですね。
紫色の着物は、モノトーン系・赤系・青系と幅広い帯とコーディネートできます。手持ちの帯でたくさん着回しを楽しめるのも購入の決め手になりました。
銘仙って写真映えしてお得かも!
実際に秩父銘仙の反物を手にして初めて気づいたのですが、銘仙はとりわけ写真映えしやすい着物のようです。スマートフォンのカメラを向けた瞬間、あまりに綺麗に撮れるので驚いてしまいました。なんの工夫もせずに、ただ撮っただけなのに……!
着物のなかには、実物はとっても素敵なのに、写真ではその魅力を存分に伝えるのが難しい品物もあります。カメラの知識も技術もないので「ほんとうはもっと綺麗なのに!」ともどかしい思いをすることもしばしば。どうやら、我らが秩父銘仙にそんなお節介は無用なようです。
中編・後編もご覧ください♡
おまけ
着物を題材にした小説を書きました。ほんの少しですが、秩父銘仙も登場します。作品の紹介ページもご覧になっていただけたらうれしいです!
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着物のエッセー『週末着物の三年間』
毎週末に着物を着る生活をエッセーに綴りました。着物を着る方には、きっとクスッと笑ったり共感したりと、一緒に楽しんでいただけるはず! お気に入りのコーデ写真(白黒)も掲載しています。冒頭部分を無料公開しているので、ぜひご覧ください。
着物の小説『銘仙日和』
今と昔の秩父銘仙の生産者を、レトロなちちぶ銘仙館を舞台に描いた小説です。大正~昭和時代に銘仙の織り子として働いた女性たちのインタヴューを読み、おばあちゃんたちと対話したくなって書きました。こちらも冒頭部分を無料公開しています。
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