よく落語や講談を聞いていらっしゃる先輩に案内していただき、新宿の末廣亭へ行ってきました。わたし自身は初めての寄席でしたが、ぜひとも着物で定席へ行ってみたいと思い、コーディネートを考えました。お出かけ当日は、気温30℃を超える真夏日。まだ6月の後半ではありますが、梅雨明け間近を意識した夏の装いでお出かけしました。
寄席当日の着物コーディネート
枯山水模様の絽の小紋に、淡いブルー×アイボリーでツートンカラーの夏帯、金魚の帯留めという取り合わせです。事前に、落語や講談はカジュアルに楽しめると聞いていたので、くだけすぎないお出かけ着を選んでみました。さらに、笑いに赴く気持ちを込めて、遊びの要素も入れることに。水がないはずの枯山水に、金魚ちゃんを泳がせています。
帯結びは座りやすさ重視で
着物で定席へ行く人に向けた情報では、帯結びに関する指南が多くあります。実際、椅子席に座る場合はこれが非常に重要で、長時間にわたり深く腰掛けて背中に思いきり体重をかけられる状態でなければ、疲れて大変な思いをすることになるでしょう。背もたれに寄りかからず身を乗り出すと、後ろの席の方の視界を遮ってしまい迷惑になるそうですが、それ以前に本人にとってもつらい時間になります。帯結びは半幅帯で背中側を平らに結ぶか、寄りかかりやすいタイプの帯枕を使って名古屋帯をお太鼓結びにするのが良さそうだと感じました。
わたしのこの日の帯結びはお太鼓です。普段から薄めの帯枕を好んで使っており、かつ弾力のある素材だったのもあり、無理なく椅子にひっついて過ごせました。ちなみに、先輩は洋服で来ていましたが、それでも長時間座ったままの姿勢でいるのはつらいとのこと。着物もまずは椅子に腰掛けて快適に過ごせる着方ができると良いですね。
定席の雰囲気はゆるやか
わたしが参加した回では、客席にいた人の9割以上が洋服でした。これは寄席に限らず、どこに行ってもそうですね(笑)。周りの洋服の人たちは普段着です。自分のほかに、着物の方が1人だけ見受けられ、さっぱりと縞を着ていらっしゃいました。心の中ではもっとコーデを拝見したいと思いましたが、ジロジロと見ては失礼ですから、チラッとね……!
慣れない場所へ着物で足を運ぶときは緊張するものですが、レトロな建物のなか流れるゆるやかな時間に身を任せていると、着物を纏う感覚がよく馴染み、似つかわしいと感じられました。ふふふっと笑い声がもれたり、話の先がどんどん気になってつい聞き入ったり。言うまでもなく、噺家さんたちの着物や、立ち振る舞いも見どころです。着物好きな方にとって、着物で定席へ行くのは、たとえ初めてでも殊更に充実した時間になると思います。
おまけ
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