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これから初めて着物を仕立てる方へ【そっと背中を押すQ&A】

初めて仕立てた着物

今回のコラムでは、初めて着物を仕立てようかと悩み始めた方へ向けて、着物ユーザーの目線でQ&Aに回答していきます。特に、すでにリユース着物・お下がり着物を楽しんでいる方で、お仕立てにも興味を持っている方を想定しています。身近な着物ファンの一つの意見として、ご判断の参考にしていただけますと嬉しいです♡



Q.初めて仕立てたのはどんな着物?

A.①長襦袢(絹)、②阿波しじら(木綿)、③浴衣という順番で仕立てました。

当時、すでにお下がりとリユースで多くの着物を持っていたので、まずは可愛い長襦袢があったほうがいいかしらと考えて1枚目にお仕立てしました。「着物のお仕立てってこんな感じなんだ!」と調子を掴んだところで、お店の方から暑い時期に気軽に着られる「阿波しじら」を教えていただき、初めて単衣の着物を仕立てました。その後、一度お店で見かけてからずっと心に残っていた浴衣の反物を取り寄せていただき、初めて浴衣を仕立てました。当初に仕立てたのはどれもカジュアルなアイテムですが、こうした日常着は中古市場で点数が少ない傾向にあることも、お仕立てを検討する一つの理由になりました。なお、ここでご紹介した3着とも未だに大のお気に入りで頻繁に着ています。

初めて仕立てた着物

Q.リユース・お下がりからお仕立てを始めた理由は?

A.「①祖母のお洒落の秘密を知りたかったから」と「②着物が増えるスピードが速すぎて疲れてしまったから」の2つの理由があります。

①:わが家には、祖母が母のために仕立てた嫁入り道具の着物がたくさんあります。着物を始めたばかりの頃、祖母が仕立てた着物を見ては「どうしておばあちゃんはこんなにお洒落だったんだろう?」と疑問に思っていました。母が言うには、祖母は地元にお気に入りの着物店があり、仕事の合間にお店に行く日をいつも楽しみにしていたそうです。祖母が仕立てた着物はどれも、ある呉服屋さんの畳紙に入っていました(現在は洋品店となっており、残念ながら着物の取り扱いはないようです)。祖母はこのお店でどんなふうに着物を選んでいたのだろうと憧れて、あるとき「わたしも自分のお気に入りのお店で着物を仕立ててみたい!」と思い立って行動しました。

②:リユース着物を中心としてお買い物を楽しんでいたとき、大量の着物を購入しては再びリユースに出すというサイクルを繰り返していました。「あんな着物を着てみたい!」という勢いに任せて買っては、あれこれコーディネートを考えるのが楽しくて仕方がなくて、おそろしいスピードで着物が増えていきました……。とはいえ、増えた着物の分だけお家が広がってくれるわけではありません。増えすぎた着物は再びリユースに出すしかないわけですが、だんだんこのサイクルを回し続けることに疲れてしまいました。そこで思いついたのが、お仕立てを中心としたお買い物に切り替える方法です。これなら自分の稼ぎがブレーキになって、強制的にお買い物の頻度を減らせるのではと考えました。実際に切り替えてみると、着物1枚あたりの出費が増えた一方で、着物が増えるスピードのほうはだいぶ落ちて、なんとかあのサイクルを落ち着かせることに成功しました。


Q.どうやって着物店を選んだ?

A.何店舗か着物クリーニングを利用して、お店の雰囲気を見て選びました

いきなり反物を見せてもらうのはハードルが高いと感じたので、まずは複数のお店に手持ちの着物をクリーニングに出して様子を伺ってみました。あくまでも「わたしは着物をたくさん持っているので、買うつもりはありませんが!」という顔をしながら……。結果として、クリーニングのみの利用でも親身になって相談に乗ってくれたのが、今お世話になっている着物店です。お店によって雰囲気や接客の方針が大きく異なるので、最初から一店舗に絞ろうとせず、どのお店が自分に合っているか比較検討するくらいのイメージで足を運ぶのがいいのかもしれません。また、着物店は件数が少ないので、少し足を延ばしてリサーチの範囲を広げることもおすすめします。


Q.仕立てた着物のメリットは?

A.着付けがめちゃくちゃ楽になりました。

着物を仕立てるとサイズの悩みがなくなるので、着ればそれなりの着姿に仕上がるようになりました。「あの着物は袖丈が短いから長襦袢の袖を折って……」などと全ての着物の個性を暗記することなく、なにも考えずに着付けができます。面倒くさがりの自分には特にこれが効いて、もう抜け出せなくなりましたね。その一方で、お下がりの着物やリユース着物を通じて学んだ着付けの工夫は、今でも役立っています。たとえ仕立てた着物であっても、素材によっては繰り返し着ているうちに多少縮んだ・伸びたなんてことが起こり得ます。サイズの悩みによって学んだ”着付けでなんとかする力”に感謝しなければ。


Q.リユース着物はもう着ないの?

A.今でもリユース着物やお下がりの着物を着ています。

この質問は、直接お会いした方から聞かれることがわりとあるので、気になっている方が多いのかもしれません。わたしは今でもリユース着物や祖母のお下がりの着物を着ています。ちょうど先日も義理の祖母から着物を譲り受けたばかりです。また、以前より頻度はかなり下がったとはいえ、リユース着物を購入することもあります。ほかの着物仲間には、わたしと同じく「リユース・お仕立て混合派」の人もいれば、「お仕立てのみ派」の人もいます。自分の身の回りでは、どちらかというと混合派が多い印象です。ちなみに、わたしとは比べものにならないほど多くの着物を仕立てている先輩の中にも、両方とも楽しんでいる混合派がいます。リユースとお仕立ては二項対立ではないので、どちらか一方に限らず、皆さまにお気に入りの着物が見つかるといいなと思っています♡


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