夏の和装は日々、暑さとの闘いですね。しかし、涼しげなおしゃれがぐっとくるのもこの暑さゆえと思うと、嫌な暑さもなかなか憎めないのであります。
そんな夏の浴衣姿で、手元にあると嬉しいのがうちわです。うちわは実用的な小物ですが、せっかくなら見た目にも涼しく、着物コーデによく似合うおしゃれなものを持ちたい!
さて、ちょうどうちわが入り用になる今日この頃、お世話になっている着物屋さんが、地元埼玉の特産品「越生うちわ」を発見してくれました。なんでも、越生町のうちわ工房しまのさんでは、店頭で越生うちわを豊富に取り扱っているだけでなく、工房内でうちわ作り体験ができるというのです!
というわけで、浴衣で越生うちわ作り体験をした様子をご紹介します。
お店では今でもうちわを手作りされていて、繁忙期である夏は体験も予約でいっぱいだそう。忙しい時期にもかかわらず、じっくりと教えていただけてありがたかったです!
なお、工房がある越生町は鳩山町の隣に位置しています。鳩山町といえば、先日我らが熊谷市を抜いて埼玉県一の最高気温を叩き出したことで記憶に新しいですね(別に、悔しくなんかないですよ?)。工房を訪れた日はかんかん照りで、地元とほとんど変わらぬ暑さに参りました……。
越生うちわ作り体験の様子
越生うちわ作り体験では、うちわの扇面のデザインを考えて、骨に和紙を貼る工程を体験できます。
まずは、扇面をイメージした台紙の上にお好みで押し花や飾りなどを配置して、うちわのデザインを決めます。草花の種類がたくさんあったので迷いましたが、このとき着ていた浴衣の雰囲気に合わせてグリーン系で統一してみました。
続いて、刷毛を使って表面の和紙に糊を塗ります。遠慮しないで塗るのがコツとのことです! 勢いよく塗っちゃいますよ。
先ほど配置した押し花を、ピンセットを使って台紙から表面の和紙の上に移し替えます。表裏を反転した状態で移し替えるので、ちょっと混乱……。しまのさんがアドバイスしながら手伝ってくださり、なんとか作業を終えられました。これで表面のできあがり。
続いて裏面の作業です。刷毛を使ってうちわの骨に糊を塗り、裏面の和紙を貼ります。和紙は表面と裏面で厚さに違いがあり、表面は押し花や飾りが透けて見えるように、非常に薄いものが使われているんですって!
表裏の和紙を貼り合わせます。ようやく、うちわらしい形になってきましたね。刷毛を使って、骨と骨の間の細かい部分までしっかりとくっつけます。
この状態で一旦乾燥させます。まだ糊が乾き切っていないときは、表面の和紙から押し花がよく透けて見えますね。
ちなみに、しまのさんのご提案により、わたしのうちわには「雲竜紙」が使われています。散りばめられた繊維がちょうど植物の葉に重なって、きれいに見えます! お陰様で、葉っぱだけのさっぱりとしたデザインが、華のある仕上がりになりました。
乾燥を終えたら、特殊な道具を使って余った骨をカットします。しまのさんが型を当てて棍棒のようなもので叩くと、パキッときれいに切り抜かれてうちわの形になりました。
仕上げに、扇面の縁にぐるりと細い和紙を貼り、柄の付け根部分を保護する和紙を貼ります。そして、再び乾燥させたら完成です!
じゃーん。浴衣とのコーディネート、どうでしょうか?
完成した越生うちわを自宅に飾る
しまのさんの工房では、プロが作った越生うちわのほかに、うちわを飾るための小物も販売しています。竹製の小物を使えば、自宅の飾りとしてもうちわを楽しめそうです。
竹製の筒を買って帰り、さっそく自宅の和室に飾ってみました。上段に飾ってあるのは、工房で購入したうちわです。藍色の濃淡が涼しげで、夏コーデがはかどりそう……! 使ってもおしゃれだし、飾ってもおしゃれ。残りの夏は、着物を畳む度、着付けする度にうちわを眺めて、うっとりしながら過ごそうと思います。
おまけ
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