【対談】着物で同窓会はやっぱり浮く?会場で意気投合した二人が当日を振り返ってみた

着物で同窓会の会場にいる二人の人

勇気を出して着物で同窓会へ行ったら、なんと着物ファンのお友達ができちゃった! 着物のお陰で素敵な思い出になった同窓会から約半年。せっかくなので、同窓会で出会った同士で、当日を振り返ってみることに。

今回は、お友達のえまさんと一緒に、同窓会にまつわる着物トークをお送りします。「やっぱり着物で同窓会へ行くと浮くの?」「着物で参加する上で気をつけたことは?」などなど……着物ファンが気になること、話し合っちゃいました!

同窓会は“ちょっとしたパーティー”のチャンス

着物で歌舞伎座の中庭に立つ二人の人
左:未衣子 右:えま
guest:えま

着物ファン。同窓会で初めて知り合った、未衣子の同級生。当日に意気投合してInstagramのアカウントを教え合い、その後は着物で一緒に出かける仲に。日本文化が好きで、茶道を習っている。

未衣子

ありがたいことに「着物で同窓会へ!当日のコーデと行って良かった理由」の記事を読んでくれる人がたくさんいるのだけど……。このブログのデータを調べてみると、実は同窓会の着物コーデに関心がある人よりも、着物で同窓会へ行って浮くのを心配している人から多く見られているみたい。えまさんは、同窓会には着物で行くと初めから決めていた?

えま

逆に着物で行かない理由が見つからなかった! 同窓会ってまさに“ちょっとしたパーティー”のチャンスだし、着物を着ているとアイスブレイクになるから。

未衣子

初対面でも「着物がお好きなんですか?」なんて話しかけやすいから便利だよね。当日、私たちはそれぞれ洋服の友達と連れ立って参加したけれど、えまさんは着物で行くことを事前に友達へ知らせていたのかな。

えま

ううん、現地で落ち合ってから説明した。彼女はいきなり私の着物姿を見たので、ちょっとびっくりしたかもね。でも、「着付けはできないけれど、おばあちゃんの着物をたくさん持っているから、いつか着てみたい」と話してくれたよ。

未衣子

今は着物を着ていなくても、着物に関心を持っている人はたくさんいるものね。私、同窓会の予定が入ってからずっと、何を着ていくかすごく迷ったの。同窓会はパーティーではあるけれども、それほど格式ばった場でもないから、お上品になりすぎないバランス感が難しかった。

えま

今回の同窓会はみんな30代だし、会場はややカジュアルな雰囲気。たとえば還暦のように大きな節目だったり、ドレスコードのある会場だったりしたら、もっとお上品な着物コーデも考えたかもしれない。それに、私たちの母校はバンカラな校風だから……。

未衣子

そう、バンカラ! 私もまったく同じ理由で、最終的に大島紬を選んだ。学校のカラーによっても同窓会の雰囲気に違いがありそう。みんな大人になったとはいえ、相変わらず気楽な会合で安心した。紬でいると心地の良い空間だったな。お互い紬のコーデだったね。えまさんが着ていた光沢感のある紬は、今でも強く印象に残っているよ。

えま

あの着物はリユースで購入した、諏訪好風の作家物。以前、十和田湖を旅行したときに、美しいサンセットを見たの。一見するとグレーの霞がかった景色なのだけれど、よく見ると湖の青に木々の緑、夕焼けの紫が重なり合っている。ちょうどその頃、染色家の志村ふくみの本を読んでいたのもあり、自然の色を通じて着物の色彩感覚の繊細さが少しだけわかったような気がした。この玉虫色の着物を初めて見たとき、それらがリンクしたように感じて、惹かれたんだよね。

未衣子

もうね、こういう着物との出会いのエピソードを聞けるとほんとうに楽しい! ちょっとした思い入れがあるだけで、さらに大切に着たくなるね。

着物はいつ着たっていいじゃないか!

未衣子

あの日は、えまさんのほうから話しかけてくれたけど、もし会場に着物の人がいたら自分から話しかけようと思っていたの?

えま

いや、その場の雰囲気で……。

未衣子

話しかけ慣れているように見えたけれど、あれはノリだったのね。

えま

私、実はそんなに積極的なタイプじゃないの。会場で別の人と話していたら「あそこにも着物の人がいましたよ。もう話しましたか?」と言われて、それで初めて未衣子さんの存在に気がついた。

未衣子

じゃあ本当に着物マジックだったわけだ。私は話しかけてもらった側だけれど、えまさんよりも早く認識していた。会場に着いてすぐ、ほかにも着物の人はいないかと探したから。でも、えまさんの着姿がお上品だったので躊躇して……。もともとシャイだし、勇気が出なくて自分からは話しかけられませんでした。(笑)

えま

それから、着物に興味を持ってくれて、洋服の人が何人か話しかけてきたよ。その人たちとも、着物というきっかけがなければ話せなかったと思う。

未衣子

私は、初対面の男子にいきなり「一つ質問があります、どうして着物なんですか?」と話しかけられた。それで、満を持して「趣味だからです!」と答えて、いよいよ着物トークが始まるのかと期待したのに「それだけが知りたかったんです!」ってすぐに去っていった。当時は酔っていたのであまり気にならなかったのだけれど、今思えばあれはなんだったんだ?

えま

でも、着物に興味を持ってくれたのは良いこと! 同窓会以外の場面でも「どうして着物なんですか?」と訊かれるよね。うちの親も「着物なんてよく着られるね!」と言ってくる。だから「着物は着るもの、衣服だから!」と言い返すの。特別な日じゃなくたって、着てもいいじゃない

未衣子

うちの親もそう。もう4年も着ているのに、未だに「あんたまた着物なの?」と言ってくる。同窓会に着物で行くべきか迷う背景にも、“なぜ着物なのか?”のハードルがあるのかもしれない。同窓会は着物を着るのにうってつけの機会なのに。

えま

立食パーティーなら、ハイヒールよりも草履のほうが楽だし。

未衣子

着物は苦しいんじゃないか、食べられないんじゃないかとよく言われるけれど、食べられるんだこれが。(笑)

えま

着始めたばかりの頃には、帯をきつく締めすぎてしまう失敗もあったよね。でも、そういう時期を経て、着付けの加減が上手になれば、だんだん楽に過ごせる衣服になってくる。今なら、タイトなワンピースを着てお腹を凹ませるよりかは楽かもしれない。

未衣子

反対に、出先で帯がゆるんで冷や汗をかいたことがあるよ。駅のホームで行きの電車を待っていたら、どんどん帯が下がってくるんだけど、これから1日大丈夫なのかよってね。あと、帰宅した直後に着物の縫い目が解けてバラバラになったことも。

えま

古い着物を大切に着ていると、糸が切れたり生地が裂けたりするリスクがある。歩いているうちに草履が壊れてしまうのもよく聞く話。長らく家に保管してある着物でパーティーに行くなら、お出かけ前に状態をよく確認したほうがいいかも。

未衣子

ある程度は外出に慣れていて、ちょっとしたトラブルに対処できるよう経験を積んでおいたほうが安心できそうだよね。大切な日に限って、思わぬ事態が起こるものだから!

着物で生まれる関係性は基本的にあたたかい

未衣子

ところで、私たちって同窓会で浮いていた?

えま

「浮いていると思わない」と言えば嘘になるけれど。そもそも、同窓会以前に街でも少数派だから。

未衣子

たしかに。そのへんを歩いているだけでも、見られるものは見られるから、同窓会に限った話ではない。もはや人の視線に慣れてくるよね。

えま

私は、人に見られていると所作を美しくしようと思えるので、良い意味で緊張感があるのも着物の好きなところの一つになっている。その一方で、視線が苦手な人の気持ちもわかる。着崩れずに出かけられるようになるまでが大変だし……。

未衣子

同窓会の会場でも、参加者約200人のうち着物の人は片手で数えられる程度。どう見ても割合が少ないのだけれど、それでも事前に想定していたより多かったので驚いた。とはいえ、えまさんも着物で同窓会へ行って良かったでしょ。

えま

もちろん、こういう出会いがあったから! たとえ会場に着物の人が1人もいなかったとしても、着物や茶道の話をして乗り切るつもりだったし。着物は話題を広げやすいから、パーティーでも困らない。

未衣子

運良く着物仲間ができたら、出会った後に出かける場所の選択肢も多い。私たちも、これまでに美術館へ行ったり、歌舞伎を観たりしたけれど、まだまだ行きたい場所がある!

えま

それに、着物を着ていて声をかけてくる人って、基本的にあたたかいよね。街で話しかけられるときは、ほとんどが優しい声がけだもの。

未衣子

ね! 街で素敵な着物姿を見つけると、声をかける勇気はまだないけれど、ついジロジロ見たくなっちゃう。だから、誰かが私のことをジロジロ見ていたら、きっと良いところを見てくれているんじゃないかって、勝手に思っているの。(笑)

えま

同窓会だってそう。今、着物で同窓会へ行くのを不安に感じている人が、このブログを読んで「自分も行ってみよう!」と思ってくれたらいいな。

未衣子

そんなわけで、着物で同窓会へ行くと、みなさんにもちょっと良い出会いがあるかもしれませんよ!?


おまけ

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