2024年12月に開催された「秩父夜祭」へ遊びに行ってきました! 秩父夜祭は、秩父地域の絹織物や養蚕の歴史と深い関わりのあるお祭りです。ユネスコ無形文化遺産に登録されていることでも有名ですね。お祭り期間中は、絹市や銘仙関連の展示など、着物ファンが楽しめるスポットもたくさんありました。
せっかくなので、お気に入りの秩父銘仙の着物でお出かけしましたよ。今回は秩父夜祭の様子や、深夜の秩父の寒さに備えた防寒対策着物コーデをご紹介します。
銘仙の着物で秩父夜祭へ行ってみた!
【昼】秩父夜祭絹市でお買い物
秩父に到着したら、まずは秩父神社の付近で開催されている秩父夜祭絹市でお買い物をしました。着物関連の商品を扱うお店がたくさん出店しているので、着物ファンの方はここで長い時間を過ごすことになりそうですよ。(笑)
こちらは秩父の織元である「浅見織物工場」さんのお店です。秩父銘仙のストールに惹かれて、つい足を止めました。銘仙のストールや小物のほかに、綿素材のストールなどの織物が販売されています。
色々と見せていただいた中でも、最初に気になった秩父銘仙のストールをお迎えすることに。自然光できらめく玉虫織がほんとうに綺麗でした……。
絹市が開催されている買継商通りにあるチャレンジショップ「よりどころ」では、秩父銘仙や養蚕に関する展示が行われていました。
秩父市の養蚕農家「影森養蚕所」さんによる、養蚕について学べる展示です。写真に写っている小さな3つの器には、品種の異なる蚕の繭が入っています。ほかに、古い養蚕の道具などが展示されていました。
さて、絹市会場の少し先へ向かうと、市街地に捺染加工店「るりばら銘仙」さんがあります。お祭り期間中は、「海松目工房」さんの商品も販売されていました。
るりばら銘仙のラインナップは、型染めや草木染めの小物が中心。海松目工房は銘仙生地をアップサイクルしたファッション小物が並んでいました。
着物関連のアイテムが豊富で迷いましたが、草木染めの半衿をお迎えすることに。こちらは型染めで桜文様を染めて、地の色は桜の木で染めたものなのだそうです。店主の矢野さんいわく「桜の花が咲く前の枝から採れた贅沢な色です」とのこと!
そんなわけで、日中はお買い物をしながら充実した時間を過ごしました。まだまだ秩父夜祭の本番はこれからですが、素敵なお土産が手に入ってすでに大満足です!
【夜】笠鉾・屋台を追って団子坂へ
さて、ご存じの通り秩父夜祭は夜通し行われるお祭りですから、ここからが本番ですよ。宿へ戻って着物を着替えたら、防寒対策をして再び街へ出ました。
豪華な笠鉾・屋台(山車)が神社を出発し、大通りを団子坂方面へ向かいます。お祭りのクライマックスではこの大きな山車が急な坂を上り下りするというのだから驚きです。一体どんなふうに坂を越えるの?!
団子坂付近で待機すること数十分。だんだんお囃子の音が近づいてきて緊張感が高まります。たくさんの観光客が見守る中、笠鉾・屋台が団子坂を上り切ると「ドーン!」と大きな花火が上がりました。それにしても、打ちあがる花火の数の多いこと! 一時たりとも観光客を退屈させない豪華なおもてなしに感動するばかりです……。
こうして団子坂を上った山車は、その後、深夜に坂を下って戻るのだそう。花火が鳴り響く中、一旦宿へ戻って休憩です。宿へ戻ってからもまだまだ花火の音が鳴り止む気配はありませんでした。
0時過ぎに再び宿を出て、団子坂へ向かいました。笠鉾・屋台がずらりと並び、屋台歌舞伎が披露されています。深夜になり市街地はひっそりとしていましたが、会場ではまだまだお祭りの活気が続いています。
つんと寒いなかで笠鉾・屋台の灯りがぼうっと浮かび上がる幻想的な光景。普段では考えられないような時間帯であるのも相まって、なんだか夢のようでした。
最後に、笠鉾・屋台が団子坂を下る場面を見ました。上るのも大変そうだったけれど、下るのはもっと大変そう……。たくさんの人たちが後ろで力いっぱい綱を引いて、ゆっくりゆっくり下りていきました。上りも下りも物凄い迫力です。ここまで起きて見に来た甲斐がありました!
【朝】秩父神社を参拝
翌朝になると、秩父神社の周辺はいつも通りの穏やかな雰囲気に戻っていました。お祭りで混雑しているときは境内に入れなかったので、帰宅前に参拝することに。
すると……なんと本殿に繭が奉納されているではありませんか! 後日知ったのですが、4日の朝に秩父神社で「蚕糸祭」が開催されていたそうです。こちらは影森養蚕所の久米さんと地元の高校生が奉納した繭だったのですね。帰り際に神社の貴重な様子を見られてよかった!
秩父夜祭の防寒対策着物コーデ
今回の秩父夜祭では、昼・夜で着物を着換えて、2つの織元さんの秩父銘仙を着ました。旅先で手早く着替えられるよう半幅帯の取り合わせで、それぞれ防寒対策の小物と合わせてコーディネートしてみましたよ。
昼の着物コーデ
昼に着用したのは逸見織物さんの秩父銘仙です。祖母からもらった毛皮のショールを合わせて、肩回りが冷えないようにしました。この日の11時から16時にかけての気温は15-17℃くらい。日中の秩父は熊谷とそれほど気温が変わらないので、上着なしでも十分快適に過ごせました。
夜の着物コーデ
夜に着用したのは新啓織物さんの秩父銘仙です。夜間は衣紋からの冷えを防ぐために、防寒具をウールのストールにチェンジ。また、ウールの着物コートを羽織り、手足の防寒にも気を配りました。ちなみに、団子坂を見に行った24時の気温は4.9℃だったようです。
活躍した着物の防寒対策グッズ
秩父夜祭の深夜の寒さを乗り切るために、以下の防寒対策グッズを使いました。
・ウールの着物コート ・革の手袋 ・アームウォーマー ・ウールのストール ・足袋インナー ・防寒草履(雨草履) |
着物は胴回りが厚いので基本的には暖かいのですが、袖や衣紋のように風が通りやすく体温が奪われやすい部分をしっかりと防寒するのがポイントになります。
それから、意外と持ってきてよかったのが防寒草履です。つま先を守るだけでも寒さによる不快感がだいぶ軽減されます。つま先を覆う形状になっていれば、雨草履でも構いません。あるいは、洋装の靴を合わせるのもアリだと思います。また、必須ではないものの、耳当てがあると尚よかったかもしれません。
埼玉県北部の寒さは、いつもこの装備で乗り切っています。関東で冬の着物の防寒対策をする際は、ぜひ参考になさってください。
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着物の小説『銘仙日和』
今と昔の秩父銘仙の生産者を、レトロなちちぶ銘仙館を舞台に描いた小説です。大正~昭和時代に銘仙の織り子として働いた女性たちのインタヴューを読み、おばあちゃんたちと対話したくなって書きました。こちらも冒頭部分を無料公開しています。
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