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着物の不思議な話|なぜ?わが家に集まる双子の着物

親子縞の着物が2枚並んでいる

“物には念が宿る”なんて言いますが、そういう意味で世の中には着物にまつわる不思議な話が少なくありません。わたし自身、前の持ち主がある着物も細かいことは気にせず楽しく着ておりますが、時に不思議な話がないこともないのです。

というのも、わたしの身の回りには、なぜか双子の着物が集まってくるのですね……。ある着物がわが家へ来たかと思えば、忘れた頃にその着物と同じデザインで色違いの着物がやってくるのです。そんなわけで、わが家で運命の再会を果たした、3つの不思議なペアを紹介したいと思います。



1.同じ親子縞で八掛が色違いの着物

親子縞の着物が2枚並んでいる

まったく同じモノトーンの親子縞の着物が2枚。よく見ると、左側の八掛は青、右側の八掛は赤になっています。青八掛はリユースで購入したもの、赤八掛は近所の方から譲り受けたものです。

先にわが家へやって来たのは青八掛です。着物を始めて間もない頃に店舗で購入し、気に入ってよく着ておりました。その後、近所の方がわたしの着物好きを噂に聞きつけ、ご自身の着物を譲ってくださったのですが、そのなかの一着に赤八掛があったのです! 初めて赤八掛を手に取った瞬間、本気で自分の目を疑いました。


2.同じ菊模様で地色が色違いの着物

小紋柄の着物が2枚。右側の小さな振袖は、着物の生地からリメイクで作られたドール用の着物です。

一見すると両者は違う着物のように見えますが、菊模様に注目してみてください。地色や周りのデザインは異なっているものの、菊の部分だけがそっくりなのです。

菊模様の着物が2枚並んでいる

2枚をさらに近づけてみました。お分かりいただけただろうか?

地色が白のほうは、母から受け継いだ桐箪笥に入っていた着物です。着物を始めた当初からずっと所有していました。一方、すっかり着物にのめり込んで、わが家のドールにも和装をさせたいと思ったとき、とあるハンドメイド作家さまのお店で発見したのがこの黒い振袖。見覚えのある菊模様に気づくやいなや、慌てて購入したのは言うまでもありません。


3.同じ切嵌め模様で色違いの帯

切嵌め模様の帯が2枚並んでいる

切嵌め模様の袋帯が2枚。まったく同じデザインでも、配色による印象の違いが面白いですね。左は祖母の桐箪笥に入っていたもの、右は母の桐箪笥に入っていたものです。

初めから母娘がお揃いで仕立てたのならば、双子の帯にもそれほど驚くことはないかもしれません。しかし、祖母の帯は遺品整理の折に初めて発見されて、後からわが家へやって来ることになったのです。

切嵌め模様の帯が2枚並んでいる
裏地には和歌が織り出されている

母の帯は、桐箪笥を受け継いだときからわたしが所有していました。その数年後、祖母の遺品整理が行われた際、母が選んで持ち帰った数点の着物類のなかに、この色違いの帯が入っていたのです。ちなみに、母は祖母とお揃いの帯の存在を把握しておらず、特に理由もなくこの帯を手に取ったとのこと。

もしも母がこの帯を持ち帰らなければ、双子の片割れは別の親族が持ち帰るか、ほかの着物とともに処分されてしまったかもしれません。そうなれば、祖母が母娘でお揃いの帯を仕立てた事実を知る人はなく、双子の帯がわが家で再会することもなかったでしょう。


今後もまた、わが家で双子の着物たちが再会する日は来るのでしょうか?


おまけ

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