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羽織の乳(ち)の位置を変えてみた|ビフォアフを写真で比較!

羽織紐の乳の位置の変更

羽織の乳(ち)の位置を変えました。あくまでも個人の好みによりますが、一般的に羽織紐の位置は「帯締めと帯の上端の間」がバランス良く見えるといわれます。今後、お気に入りの羽織を長く愛用するにあたって、今回の調整を行いました。この記事では、羽織の乳の位置を変えると見え方のバランスがどう変わるかを写真で解説します。

なお、詳しくは後述しますが、羽織を着用する方の体型や衣紋の抜き加減のほか、羽織紐の長さやタイプによってもバランス良く見える位置が変わります。お持ちの羽織紐の中で、お気に入りでよく使うアイテムに合わせて乳の位置を調整すると、さらに使い勝手のいい羽織になるかもしれません。



羽織の乳(ち)の位置によるバランスの違い

今回わたしは、羽織の乳(ち)を元の位置よりも低く調整しました。和裁は行きつけの着物店へ依頼しています。比較しやすいように、彩度を落とした写真でご覧ください。

羽織紐の乳の位置の変更

before(赤色の線)とafter(青色の線)を比較してみました。beforeでは、帯の上端よりもさらに上の位置に線があります。一方、afterでは帯の上端とちょうど重なるくらいの位置に線があります。

羽織紐の乳の位置の変更

比較用に、羽織紐の両端と中央、3点に丸印をつけてみました。beforeの角度のほうが、急になっていますね。

これは、当時のわたしが写真撮影のために一時的に羽織の衿を寄せて、羽織紐の中央が「帯締めと帯の上端の間」に来るようにごまかしているからです。このように衿を寄せなければ、羽織紐の中央は帯よりも上に来てしまいます。

羽織紐の乳の位置の変更

では、ごまかさない場合、羽織紐の中央はどの位置に来るのでしょうか。両方の写真にafterの角度で印をつけて比較してみました。紫色の点線は帯の上端です。

beforeのほうは、羽織紐の中央が帯の上端すれすれに来て、全体がはみ出してしまいそう……。一方、afterのほうは羽織紐が全体的に「帯締めと帯の上端の間」に収まっています。

羽織紐の乳の位置の変更

羽織紐の位置は、必ずしも「帯締めと帯の上端の間」でなければならないわけではありません。ただ、この位置に収めると帯揚げ・羽織紐・帯締めがしっかりと見えて、着物コーディネートが楽しいのです! 大変細かい部分だけれど、帯周りの色使いがきれいに見えて、ちょっと嬉しくなりました♡


羽織紐の長さやタイプによるバランスの違い

羽織の乳の位置は、着用する方の体型や衣紋の抜き加減のほか、羽織紐の長さやタイプ(平組や丸組の紐、チェーン、ビーズetc…)によってもバランスが変わります。お好みの羽織紐に合わせて調整してみましょう。

ここでは、羽織紐の長さやタイプによる見え方のバランスの違いをご紹介します。


チェーンの羽織紐(20cm)の場合

羽織紐の乳の位置の変更

こちらは、わたしの手持ちでもっとも長いチェーンの羽織紐(20cm)です。自分が羽織を着用する際のサイズに合わせて、チェーンの長さを調整して自作しました。全体的に「帯締めと帯の上端の間」に収まり、納得のゆくバランスになっています。


チェーンの羽織紐(15cm)の場合

羽織紐の乳の位置の変更

こちらは、わたしの手持ちでもっとも短いチェーンの羽織紐(15cm)です。祖母の箪笥に入っていたもので、短いですがデザインが気に入っているので今でもよく使います。今回、羽織の乳の位置を下げましたが、それでも帯の上端からほとんど出てしまいました。


こま結び・叶結びの場合

一般的な平組タイプの羽織紐を、「こま結び」と「叶結び」にしてみました。こちらもいい具合に「帯締めと帯の上端の間」に収まりそうです。このほかに、蝶結びするタイプの長めの羽織紐もありますね。この場合は、平組タイプよりも紐の先端が下がるかと思います。


せっかく羽織の乳の位置を調整したので、家にある羽織紐を使って実験してみました。自分にとって心地いいバランス感を見つけるために、参考にしていただけましたら嬉しいです♡


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