夏の着物って涼しげで、見ているだけでウットリしちゃいますよね。暑いとわかっていながらも着たくなる、格別な魅力があるものです。かつてはあの銘仙にもそんな夏物があったそうですよ。
今回はちちぶ銘仙館ギャラリーで開催中の「涼しさを装う夏銘仙展」へ行ってきました。夏銘仙は、アンティーク銘仙のなかでも貴重な存在。これだけの点数を見られる機会はなかなかないので、ぜひ会期中に秩父へ遊びに行ってみてはいかがでしょうか。会場のちちぶ銘仙館は各駅から徒歩圏内なので、日帰りの秩父旅にもおすすめです!
【イベント詳細】 会期:2024年7月6日(土)~8月31日(土) 開催場所:ちちぶ銘仙館ギャラリー |
貴重な夏銘仙の魅力をたっぷり味わえる展示
夏着物といえば、夏らしい涼しげなデザインと生地の透け感が魅力。展覧会では銘仙らしい大胆な柄行はそのままに、涼感のある色使いやこの季節ならではのモチーフの着物を楽しめます。展示品のなかには、秩父の織元が所蔵する通常非公開の資料もあるそうですよ。
展示されている夏銘仙の生地から、窓の外の景色が透けて見えています。
生地の重なりや光の当たり具合によって透けの度合いが変わります。こちらの2枚の写真は同じ着物です。左側の写真のように、透け感が少ない状態では模様がはっきりと見えて、見慣れた銘仙の雰囲気になります。
着物だけでなく、反物も展示されていました。こちらも薄い生地から撞木の形が透けて見えていますね。銘仙らしいポップな色使いですが、全体的に寒色系が多く、また夏の植物や水に関連するモチーフが多いようです。
こちらは、展覧会のポスターに用いられている琉金文様の銘仙です。推定産地は足利。ここではあえて拡大写真は載せませんが、金魚の鱗や鰭のすじまで繊細な線で見事に表現されています。ぜひ実物をお近くでご覧になってみてください!
秩父銘仙の技法を応用した行燈にも注目
ギャラリーには、多数の夏銘仙とともに行燈が飾られています。こちらの金魚鉢と水玉文様の行燈は、秩父銘仙の技法の一つである捺染を応用し、障子紙を型染して作られたものだそうです。
展示品のなかに、行燈のデザインの元になった推定産地秩父の夏銘仙が展示されています。小さな夏祭りのような可愛らしい雰囲気を演出してくれているので、ぜひ注目してみてくださいね。ああ、こんな夏銘仙を着てみたいなあ……!
ちなみに、展示室には夏銘仙のデザインにそっくりな金魚ちゃんがいました。
秩父織物を学べる常設展
ちちぶ銘仙館は、ギャラリーの企画展以外にも着物ファンにとって見どころの多い施設です。館内には動態保存されている現役の機器や、秩父織物の歴史を学べる資料があります。暑い夏のお出かけ先に迷ったら、レトロな建物で涼しげな着物を鑑賞してはいかがでしょうか?
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