2025年10月18日(土)に、埼玉県秩父市内の古民家で開催された「銘仙トークショー 復刻秩父銘仙と復刻珈琲」へ行ってきました♡
イベントでは、新商品「復刻秩父銘仙」と「復刻珈琲」のローンチが行われ、地域おこし協力隊員のmeisen_boyさん×老舗織元の逸見織物さんによるトークが行われました。このレポートでは、たくさんの着物姿が集まった会場の様子や、復刻秩父銘仙・復刻珈琲の魅力をご紹介します。
アンティーク銘仙や現代銘仙が好きな着物ファンの方へ向けて、どんなデザインの反物が復刻されたのか、どのように注文できるのかなどの情報をまとめたので、ぜひチェックしてみてくださいね。

銘仙を着た人がたくさん!着物姿が集まる秩父市街地

「銘仙トークショー 復刻秩父銘仙と復刻珈琲」は、秩父市街地にある寺内織物さんの母屋で開催されました。
秩父に到着すると、街中には普段よりも多くの着物姿が見られました。ようやく袷が着やすい気候になり、これから冬にかけて銘仙で秩父観光をするのが楽しいシーズンですね。わたしも逸見織物さんの秩父銘仙コーデで遊びに行きましたよ♡


なお、会場では展覧会「昭和百年メイセン・クロニクル展」のダイジェスト版として年代別にアンティーク銘仙が展示されていました。第2期・第3期の展示も楽しみです。
秩父地域おこし協力隊×逸見織物の銘仙トークショー

「銘仙トークショー 復刻秩父銘仙と復刻珈琲」の会場はこんな雰囲気でした。ご覧の通り着物姿が多数を占めており、なかでも銘仙を着ている人の割合が高いのはさすが銘仙の産地ですね。古民家に着物姿が自然と溶け込む素敵な風景♡

トークショーでは、地域おこし協力隊として銘仙を担当するmeisen_boyさんと、秩父銘仙の老舗織元である逸見織物さんが、復刻秩父銘仙について解説してくださいました。
復刻銘仙のデザインの魅力や制作の裏側について、作り手の目線からじっくりとお話を聞けたので、わたしを含め着物ファンの参加者はますます銘仙の価値を実感できるようになったと思います。

今回ローンチされた4点の復刻銘仙は、春・夏・秋・冬の四季にちなんだデザインとなっています。左から順に、春の薔薇文様、夏の金魚文様、秋の葡萄文様、冬の椿文様です。復刻デザインの選定や反物の制作はmeisen_boyさんと逸見織物さんが担い、銘仙技術の後継者として修行している皆さんも制作に携わっています。
meisen_boyさんは地域おこし協力隊員であり、数多くのアンティーク銘仙を保有する銘仙コレクターでもあります。今回の4つの復刻デザインは、数ある銘仙の中でも豊かな自然を持つ秩父地域らしく、季節感を楽しめるようチョイスしているそうです。「秩父銘仙が一日でも長く続くように」と願い、これまで隊員として精力的に広報活動をされてきたmeisen_boyさん。現状、銘仙は着物の世界においてアンティークを中心として知名度が高い状況となっていますが、わたし自身も一人でも多くの着物ファンが現代銘仙の魅力に触れ、楽しめる世の中となることを願っています。
また、逸見織物さんの解説によると、捺染の工程では春の銘仙に4色、夏の銘仙に2色、秋の銘仙に4色、冬の銘仙に5色を使っているとのことでした。特に人気が高いのは冬の椿文様で、すでに注文が入って第二弾のロットの制作が決まっているそうですよ。

トークショーの会場では「ちちぶコーヒー」さんより今回のイベントのために特別にブレンドされたコーヒーが提供されました。
ところで「銘仙とコーヒーって何か関係があるの?」と気になった方もいらっしゃるかもしれません。実は、銘仙が流行した大正から昭和初期にかけて、国内ではブラジル産のコーヒーが人気を博したのだそうです。
深煎りのブラジル産コーヒーにお砂糖を入れて飲めば、まるで銘仙の時代の珈琲館のような味わいを楽しめる――というわけで、なんだかロマンを感じますよね♡

トークショーでは、銘仙の産地としての秩父が現役生産者の目線から語られる貴重な場面もありました。現在、国内の銘仙の産地の中でも生産が続いているのは秩父のみとなっています。なぜ秩父は残ったのか? その理由としては複数の要因が考えられますが、一つに製造工程の一元化が挙げられます。
銘仙はかつて大流行した着物です。このように着物の需要が増加して大量生産が必要となった場合、産地では効率化のために製造工程を分割して各工程を複数の事業者が専門的に担うようになり、分業化が進みます。ところが、産地が分業化した状態で需要が急減すると、特定の工程を担う事業者が撤退した際に一部の工程が欠けてしまうため、産地全体で製造が困難な状態に陥ってしまうのです。銘仙の産地の中には、着物需要の低迷にともない一元化へ向けた統合が課題となり、結果として製造が途絶えてしまったケースもあるそうです。
秩父地域においても、過去には「染める工程」と「織る工程」を別の事業者が担う分業の体勢がとられた時期がありました。ただ、現在は3軒の織元(新啓織物・秩父織塾工房横山・逸見織物)の各自が染め・織り両方の技術を保有し、製造工程が一元化されている状態です。一度分業化された工程を統合するのは容易なことではありません。染めと織りにはまったく異なる技術を要するため、全ての工程を自社内で担う体制の構築にはきっと苦労されたことでしょう。しかし、そんな織元さんの努力もあって現代の秩父に銘仙の製造技術が受け継がれているのですね。
「復刻秩父銘仙」はどこで買える?

今回のイベントで制作された上記の4点の反物については、秩父銘仙の織元である逸見織物さんにて購入が可能だそうです。現品にご興味をお持ちの方は、逸見織物さんへお問い合わせください。
また、meisen_boyさんが復刻した4パターンの型紙は、秩父銘仙の織元さんへ別誂の注文をする際に無償で利用できるそうです。たとえば「好みの色を指定して反物を購入したい」「絹ではなく綿麻素材の反物を購入したい」といった場合には、秩父の各織元さんへお問い合わせすることで、別誂にて型紙を利用できます。マイサイズで自分だけの特別な銘仙を購入したい方は、秩父の織元さんに相談してみてはいかがでしょうか?
おみやげの秩父銘仙復刻珈琲でほっと一息


イベント後は、おみやげの「秩父銘仙復刻珈琲」をさっそくいただきました。普段、コーヒーはカフェオレを好んで飲んでいるのですが、今回は銘仙の時代に思いを馳せてブラックにお砂糖を入れて飲んでみましたよ。とってもいい香り!
今後、商品化された「秩父銘仙復刻珈琲」は秩父地域各所で購入できるとのことです。復刻銘仙のデザインがあしらわれたパッケージが可愛いので、着物好きな方へのギフトにもおすすめですよ♡
週末着物日記『未衣子の楽しい着物ブログ』は、“毎週末に着てマイペースに楽しむ埼玉近郊の着物ブログ”です。三築 未衣子の著者プロフィールはこちらからご覧いただけます。
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エッセー『週末着物の五年間』
週末着物生活5年目を迎えて書いたエッセーです。反物のお仕立てからレンタル着物まで楽しみ方はさまざま。着物パーティーを主催した経験や、秩父銘仙の織物・養蚕事業者の皆さまとのエピソードにも触れています。相変わらず元気に遊ぶ着道楽な日々を一緒にお楽しみいただけましたら嬉しいです。
エッセー『週末着物の三年間』
埼玉県の最北端で元気に遊ぶ着道楽のエッセーです。週末着物生活3年目の頃に書きました。着物を着る方には、きっとクスッと笑ったり共感したりと、身近に感じて楽しんでいただけるのではないでしょうか。読めばきっと着物生活を根気よく続けるヒントが見つかるはず。
着物コーデ本『ミイコーデ!Vol.1』
『ミイコーデ!』は、着物ファンの未衣子による、写真とエッセーで着物ライフを楽しむZINE(≒小さな出版物)です。写真とテキストが程よいボリューム感でぎゅっと詰まった、読みやすい小さな冊子となっています。
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