リトリートフィールドMahora稲穂山のイベント「第3回銘仙展」へ行ってきました。 秩父で開催される銘仙の展覧会で、しかも会期中は銘仙や養蚕に関わる人たちのトークイベント、体験コーナーもあるなんて! 熊谷から車でひとっ飛びして向かいましたよ。
会場の「森の美術館」を見下ろす位置で撮影した写真です。登るのはめちゃくちゃ大変でしたが、さすがに見晴らしがいいですね!
アンティーク銘仙たっぷりの展示内容
さっそく会場に入ってみますよ!
壁一面に木村和恵さんコレクションの銘仙がずらり! なかでも気になった銘仙をチェックしてみましょうか。
どれも植物モチーフの銘仙です。やはり色鮮やかな着物には自然と目が行きます。着てみたいのは4番目の墨黒かなあ。たくさん銘仙の選択肢がある中で自分のお気に入りを探すのは楽しいね!
こちらは秩父で作られた品物ではないと推測されるそうですが、なんと「マジョリカ銘仙」だそうです。マジョリカお召の、銘仙版?! キラキラ好きとしては見逃せません!
さらに近寄るとこんな感じ。写真だとわかりにくいですが、細かくキラッとした光が写っているのが見えるかしら?
こちらも初めて見ましたが、「秩父大島」だそうです。今よりも着物がたくさん生産されていた時代には、こうしたユニークな品物があったのですねえ!
なお、反対側の壁に展示されているのは夜具地(=布団などの寝具に使われた布地)。銘仙の着物需要の減少にともない生産された背景があります。このほかにも、会場では秩父銘仙に関連する商品の販売が行われていました。
トークイベント「絹産業を支える養蚕の未来」
さて、この日の主な目的はトークイベント「絹産業を支える養蚕の未来」です。登壇者は銘仙語り部の木村和恵さん、影森養蚕所の久米悠平さんなど、秩父地域で銘仙や養蚕に携わっている皆さん。オープニングには秩父音頭研究会による正調秩父音頭の演奏が行われました。オーディエンスから「こらしょ!」とかけ声が入り、和やかな雰囲気だ!
これまでに2,000万枚近くの銘仙を収集し、現代における秩父銘仙の再評価に貢献された木村さん。かつて銘仙が大流行したその後、彼女の故郷こと秩父を支えた古い銘仙たちがぞんざいに扱われていたことに疑問を抱き、収集の活動を始められたそうです。そんな熱い想いを元気いっぱいに語ってくださいました。お召しになっているショッキングピンクの銘仙からもエネルギーを感じます。
なお、木村和恵さんは、以前の記事でも触れた埼玉県立歴史と民俗の博物館に銘仙関連の資料を多数寄贈された方です。いつかお会いしたいと思っていたので、トークイベントで直に銘仙への想いを聞けて嬉しかった!
続いて、養蚕を担う若手の皆さんの対談です。それぞれが直面している養蚕の仕事の課題や、新たなビジネスの可能性などを語ってくださいました。
トークイベントのタイトルにもなっている“養蚕の未来”ですが、今それがいかに困難な状況に置かれているか、着物ファンの端くれとして少しはイメージしているつもりです。ところが、お三方が始終、深く悩み言葉に詰まりながらもなんとか回答する様子を見て、これまで一体どんな光景を見てきたのかと……。想像を絶する苦労でしょう。生産者の誇りの問題。開業時のハードルの問題。仕事道具の継承の問題――。現代の養蚕の担い手は、そんな状況下で養蚕の仕事で生計を立てる道を模索している最中です。
ご存知の通り、ライフスタイルの変化にともない着物を着る機会がぐっと減った時代です。だからといって、着物ファンが自分の手の届く範囲で正絹の着物を買えば身近な養蚕農家が助かるかといえば、そうもゆかないのが歯がゆいところ……。さておき、養蚕に関して知らないことがあまりに多いので、まずは遠からずお蚕様の育つ場所を見学することから始めてみようかと考えました。
トークイベント後に木村さんとお話ししている様子。まるで自分の祖母のように、親しみをもって接してくださったんですよ(こう見ると、とっても距離が近いでしょう!笑)。わたしが着ている秩父銘仙をご覧になって「大事に着なさいよ!」と仰ったので、大きな声で「もちろんです!」と答えました。
さて、今回のイベントは、秩父銘仙の捺染加工業「るりばら銘仙」さんにご案内いただきました。るりばら銘仙さんは、銘仙展の体験コーナーで型染体験を担当されています。
わたしも近日、るりばら銘仙高橋ミート店で半衿の捺染体験をする予定です。かっこいい半衿ができるといいな♡
おまけ
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着物のエッセー『週末着物の三年間』
毎週末に着物を着る生活をエッセーに綴りました。着物を着る方には、きっとクスッと笑ったり共感したりと、一緒に楽しんでいただけるはず! お気に入りのコーデ写真(白黒)も掲載しています。冒頭部分を無料公開しているので、ぜひご覧ください。
着物の小説『銘仙日和』
今と昔の秩父銘仙の生産者を、レトロなちちぶ銘仙館を舞台に描いた小説です。大正~昭和時代に銘仙の織り子として働いた女性たちのインタヴューを読み、おばあちゃんたちと対話したくなって書きました。こちらも冒頭部分を無料公開しています。
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