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秩父銘仙の染織教室を見学してみた(秩父織塾工房横山)

秩父織塾工房横山の外観

今回は、秩父銘仙の織元である「秩父織塾工房横山(横山織物)」さんの染織教室にお邪魔してきました! 教室で秩父銘仙の染め・織りの技法を学ぶ生徒さんの様子や、現代物の秩父銘仙の反物まで、たっぷり見せていただきましたよ。

「秩父織塾工房横山」さんが手がけた反物のなかには、珍しい現代物の併用絣・半併用絣の銘仙のほか、格好いい男物の銘仙も! 美しい織物の写真をたくさん撮らせていただいたので、秩父銘仙の反物に興味がある方はぜひご覧ください♡



心地よい機音が響く秩父銘仙の染織教室

秩父織塾工房横山の染織教室

「秩父織塾工房横山」さんは、伝統的工芸品である秩父銘仙の技術の研鑽や伝承に力を入れていらっしゃいます。銘仙を作る大切な技術を次の世代へつなぐために、現代物の秩父銘仙を製造しながら、後継者育成を目的とした染織教室を開催して指導を行っています。現役の織元さんから本格的に秩父銘仙の機織りや捺染を学べるなんて、貴重な機会ですよね!

生徒さんたちにお願いして、機織りの様子や制作途中の作品を見せていただきました。

手足を使って布を織る、昔ながらの「高機」を使って制作しています。ベテランの生徒さんが織るときの、トントンという機音のリズムが心地いい……。昔の工場や農家の近くではこんな音が聞こえていたのかな、なんて想像が広がります。

こちらは制作中の作品です。左はシンプルな縞模様で、ブルー系の配色が美しいですね。右は2種類の柄をそれぞれ捺染して糸を交互に組み合わせた、ちょっと複雑な織り方となっています。このような難しい技法も横山さんがバッチリ教えてくださるので心強いですね。

秩父織塾工房横山の染織教室

こちらの織機には、経糸と緯糸の両方を捺染して織る併用絣がありました。現在、併用絣の銘仙を織る技術を持っているのは「秩父織塾工房横山」さんのみとなっています。世界中でここでしか見られない貴重な制作風景です。

写真左下に丸印をつけた箇所があります。紺色のドットが、縦方向と横方向の両方にずれているのがわかるでしょうか? 絣の着物が好きな人間には、この風合いがたまらないんですよね♡

秩父織塾工房横山の横山さん

着物を楽しむわたしたちにとって、作り手の皆さんはとても大切な存在です。現在の秩父には、幸いにも専門家から直接技術を学べる環境があります。秩父銘仙の作り手として本格的に技術を学びたい方は、「秩父織塾工房横山」さんの門を叩いてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、日帰り観光向けの簡単な藍染めや機織りの体験(※要事前予約)も開催されているそうなので、着物ファンが秩父への小旅行で立ち寄るのもおすすめですよ♡


現代物の秩父銘仙の反物(秩父織塾工房横山)

「秩父織塾工房横山」さんでは、併用絣・半併用絣・ほぐし織・ヤナセ絣などの多彩な銘仙の技法を生かしたものづくりをされています。着物ファンお待ちかね、反物を見せていただきました!

なお、気になる反物があれば秩父織塾工房横山公式InstagramへのDMでお問い合わせができるそうです。「この銘仙、着てみたい!」とピンときたら横山さんに連絡してみてくださいね。


珍しい技法の現代秩父銘仙が勢ぞろい!

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙の反物

左奥から時計回りに、半併用絣の銘仙(紺色)、ヤナセ絣の銘仙(ピンク色)、ほぐし織の銘仙(薄紫色)、併用絣の銘仙(水色)です。さっそく珍しい技法が勢ぞろい!

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙

このうちヤナセ絣は、横山さんが長年にわたり併用絣の技法を研究して開発した新銘仙です。経糸と緯糸に異なる柄を捺染して織ることで、まるで2つの柄が浮かび上がるかのように見えます。


現代物の秩父銘仙

さて、どんどん反物を見て行きますよ!

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙の反物

手前はヤナセ絣の銘仙(ピンク色)、奥は2種類の柄を交互に組み合わせた銘仙(濃いグレー)です。この柄の立体感、実物を見て体感していただきたいですね。

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙の反物

手前は玉虫効果のあるほぐし織の銘仙(赤色)、奥はほぐし織の銘仙(紫色)です。

玉虫織の銘仙は、経糸と緯糸に離れた色を使うことで、角度によって色が変わって見えるのが特長です。赤い地の色が青に変わる美しい効果をぜひ動画でご覧ください。

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙の反物

手前は緯糸に捺染した糸を使用した銘仙(黒)、奥はほぐし織の銘仙(紺色)です。

ここまで、さまざまな趣向を凝らした銘仙がありましたね。ブログをご覧の皆さまにも、横山さんがいかに銘仙の技法を研鑽されているか伝わったのではないでしょうか?


現代物の男物銘仙

銘仙といえば、大正時代の女学生に始まり女物のイメージが強くあります。そんな中で横山さんは、男物銘仙の制作にも今後さらに力を入れていきたいそうです。

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙の男物反物

手前はほぐし織の銘仙(黄色)、奥は半併用絣の銘仙(灰色)です。龍の反物は、きっと羽織にしても格好いいでしょうね……!

この龍は横山さんがデザインを手掛けています。右側の写真は、仮織りして捺染した経糸。うっすらと龍の顔が見えるでしょうか?

横山さんは龍のほかにも、ドクロや蜘蛛の巣などのデザインがお好きとのこと。この系統が好きな着物男子、見たことあるよ!? 「こんな男銘仙が欲しい!」というビジョンをお持ちの方は、ぜひ横山さんに相談してみてください。


秩父銘仙の生地を使ったおみやげ

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙

「秩父織塾工房横山」さんの敷地内には、秩父銘仙の生地を使ったファッションアイテムや小物を販売するショップがあります。長瀞・秩父観光の思い出に、銘仙を連れ帰ってみてはいかがでしょうか。

秩父織塾工房横山(横山織物)の現代物の秩父銘仙を使った帯留

わたしはこの帯留に惹かれて迷わず手に取りました。中心部に銘仙の絣がいい具合に出ていて綺麗! 生地と同じグリーンの三部紐と合わせてコーデしてみたいな。

染織教室にお買い物に、銘仙を学んで楽しめる「秩父織塾工房横山」さん。ぜひ事前予約の上、体験や見学に行ってみてください♡


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