東京キモノショーへ行ってきました。わたしが足を運んだのは3月30日(土)です。前日は生憎の雨で、当日は晴れたものの一気に気温が高まりました。都内の気温は24℃とほぼ夏日で、「袷や羽織はもう暑い」という声も。わたしも袷で行きましたが、来年のキモノショーには綿麻かしら……とさっそく一年後のおしゃれの心配をしています。
当日の着物コーデはこちら。訪問着×薄羽織に、衿元を多めに開けて着付けして、パールのネックレスをチラ見せしています。
キモノスタイル展
今年の東京キモノショーのテーマは「きものと装束と日本の色」でした。キモノスタイル展の入り口には、平安時代と『源氏物語』を学べる展示が並びます。最近は大河ドラマ「光る君へ」の影響で、ネットでも平安時代の文化が話題にのぼることが多いですよね。
トルソーコーデの中にも『源氏物語』モチーフを発見しました。こちらの取り合わせで注目したいのが、どこか意味深な帯周りの色使い。というのも、着物の裾に描かれている数人の高貴な殿方たちのなかで、光源氏と思わしき男性(左下)の装束の色に寄せてコーデしているそうなのです。色使いによって光る君とのつながりがさり気なく示されています。妄想が広がるプリンセスの装い!
また、同じく平安時代の作品である『竹取物語』モチーフのコーデもありました。こちらはなんと振袖です。特にぐっときたのが後ろ姿。大きな満月を背景にかぐや姫の姿が描かれているのですが、絵柄の配置の妙で遠目に見ると着物の紋と見紛いそうです。また、近づいて見ると姫君が帯の上線をすっと歩いてゆくかのような動きも感じられます。最小限の装飾で物語性が漂うデザインに惹かれました。
続いて気になったのが、黒紋付・黒留袖のコーディネートのコーナーです。
こちらは『月刊アレコレ』細野編集長が提案されていた、黒紋付×袴のお祝いコーディネート。きものトレンドチャンネルでは大学院の卒業式におすすめされていましたが、こうして実物を見てみると、黒のきりっとした佇まいに納得です。こんな装いで修了式に出たらむちゃくちゃかっこいいなあ。
一方、黒留袖をカジュアルダウンするコーディネートもありました。多くのお家の桐箪笥に眠っているものの、なかなか出番の少ない黒留袖。黒留袖らしい気品を生かしつつ、こんな遊び心のある着こなしをしてみたいですね。
No.94 きらめきエレガンス
会場でふと目にとまったのが、去年も足を止めた星君枝先生のコーデ。見つけた瞬間に「これは星先生だろうな」とすぐに気づきました。これだけたくさんのコーデがある中で、素材感や色使いで“あの人のコーデだ”と気づかせる軸があるのが素敵。
No.56 「里山里海」-祈りの色合わせ-
こちらは「真似したいな」と思ったコーデです。穏やかな紬に乗せたピーコックブルーのアクセントにはっとさせられ、思わず振り向いてしまう取り合わせでした。ふと足元を見ると、なんと草履の前坪にもちらりと孔雀青がのぞいているではありませんか。なお、こちらの装いはスタイリストの方が郷土である能登の山や海を想って考えられたそうです。年始の出来事から今なお、能登上布のふるさとでもある地域の復興を願うばかりです。
去年のキモノスタイル展では「もっと時間をかけて回りたかった!」と反省したので、今年は計3周くらい回りました。大量の着物コーデを見放題、めちゃくちゃ楽しかった!
がんばれ秩父銘仙!
今回の東京キモノショーでは、わたしの大好きな埼玉の着物、秩父銘仙が複数のブースで出展していました。こちらは、サテライト会場の「きもの悉ことごと」さんの店内にある、熊谷市の着物店「きものこすぎ」さんのブースです。新啓織物さんの秩父銘仙の反物が並んでいます。
続いてこちらは、綿商会館の和マルシェ「No.59 海松目工房(みるめこうぼう)」さんのブースです。こちらでは秩父銘仙を使ったバッグや帽子などのファッション小物のほか、秩父で生産されたものを販売・紹介しています。
秩父銘仙に関わる地元の皆さんの想いを背負って参加されたそうです。イベントの機会を通じて秩父銘仙のことを知る人がもっと増えるように、わたしも陰ながら応援しています。
きくちいまトークショー
きくちいまさんのトークショーを拝聴しました。着物ファンをエンパワメントするお言葉が飛び交い、会場の皆さんがうんうんと頷いていました。なかでも、街中で「今日は何かあるんですか?(=なぜ着物を着ているんですか?)」と訊かれたら、ぜひ「着物が好きだから着ています♡」と答えましょう、との呼びかけが印象的でした。
写真は、いまさんがご自慢の藤井絞の羽織を披露している様子。デザインを決める際に、効果的な柄の配置にこだわったそうです。たしかに、ショーの最中はチラチラと目がとまる場所にちょうどよく柄があり、どの角度で見ても華やかでした。
トークショーの最中、いまさんは「今日は会場でたくさんお買い物をして帰りましょう!」と力強く声をかけられていました。わたしの観測範囲では、このトークショーを聞いてうっかりお買い物をして帰る羽目になった人がたくさんいるようです。わたしもやってしまいました……。全部いまさんのせいだから、仕方がないですね!(笑)
着物仲間に会えて嬉しかった
会場でお会いしたインスタ仲間の皆さんと記念撮影をしました! お会いできて嬉しかったです。ありがとうございました♡
うっかり撮り忘れた出会いもあり、惜しい気持ちも……。思い出は記憶に残るけれども、写真が残っているとさらに嬉しいので、もっと意識的にお声がけして撮っていただかないといけませんね。
それでは、来年はおしゃれな綿麻でお会いできますように(笑)
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着物のエッセー『週末着物の三年間』
毎週末に着物を着る生活をエッセーに綴りました。着物を着る方には、きっとクスッと笑ったり共感したりと、一緒に楽しんでいただけるはず! お気に入りのコーデ写真(白黒)も掲載しています。冒頭部分を無料公開しているので、ぜひご覧ください。
着物の小説『銘仙日和』
今と昔の秩父銘仙の生産者を、レトロなちちぶ銘仙館を舞台に描いた小説です。大正~昭和時代に銘仙の織り子として働いた女性たちのインタヴューを読み、おばあちゃんたちと対話したくなって書きました。こちらも冒頭部分を無料公開しています。
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