着物の虫食い疑惑で大いに反省

複数枚の振袖がハンガーで室内に干してある
――妹の振袖を干してやる姉の優しさをアピールするために、妹に送りつけた写真を添えて

さっきまで着ていた着物をハンガーにかけて、ふと裾の内側のあたりに目をやったとき、さあっと血の気が引いた。なんとも怪しげな穴があるではないか。もしかして、虫食い? 母から譲り受けて、よく着ていたお気に入りの着物である。嘘だ、嘘であってくれ! ぽつりとあいた穴は、どこかにうっかり引っ掛けてできたように見え……なくもない。ひとまず、それが虫食いであると仮定して、応急処置でアイロンを当てる。

この着物がまだ母の管理下にあった時点から穴が空いていて、これまで欠点を見落としていたのであれば、まだ良いとする。問題は、この着物がわたしの管理下に置かれて以降に、新たに虫食いが発生していた場合だ。桐箪笥の同じ段には、どの着物が入っていた? 最近、この着物と一緒に使った帯は? 桐箪笥には無論、防虫剤も防湿剤も入れて、全段こまめに交換している。まさか、これだけ手入れしている自分の桐箪笥に、虫が出るわけがないだろう。

しかし、思い当たる節がまったくないわけではない。近日に同じ和室で手入れした、祖母の古い着物。クリーニング待ちで既存の着物と接触しないように保管しているものの、こうなっては疑わしい。また、古い着物で衣服としては着ないけれども、資料として保管しているのもある。こちらもまた疑わしい。きちんと保管しているつもりでも、疑わしいことがある以上は、今すぐに桐箪笥を点検して問題の切り分けをしなければならない。いきなりやるべきことが山積みだ。着物の管理にもだいぶ慣れてきて「普段からこれだけやっているのだし、そんなに頻繁に虫干ししなくてもよいのでは」なんて、一瞬でも甘い考えを持った自分を心底恥じた。

その後、慌てて桐箪笥を点検したところ、件の着物は少なくとも最近生じた虫食いではないことや、ほかの着物には被害が及んでいないことなどが明らかになる。本件はここで一旦、解決となった。

しかし、この虫食い疑惑には、それなりに多くの着物を所有する者として、これまでの方針に反省すべき点が多くあると気づかされたものだ。古い着物を所有する覚悟、そして管理する覚悟が、自分にはまだ足りていなかった。わが家の桐箪笥には、親族から継いだ一張羅(!)も、妹から預かった振袖も、自分で新たに仕立てた着物も、みんな入っている。もしそれらが、なんとなく保管していた着物が原因で虫食いの被害にあったとしたら、自分はその着物を許すことができるだろうか?

事件以降、桐箪笥の中身を改めて整理してみた。大量の物を所有する者は、それらを管理する責任を負う。そんなコレクターの宿命が身に沁みる出来事であった。


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